海洋生物学

海洋生物学担当:萩原清司

研究内容

横須賀市が位置する三浦半島は、東に東京湾、西に相模湾と異なった環境の海に面した半島です。
東京湾は、江戸川、荒川、多摩川をはじめとする多数の大型河川が流入する浅い海で、古くから「江戸前」と呼ばれる水産資源にめぐまれた海です。
相模湾は、国内で2 番目の深さをもつとともに、黒潮の影響を強く受けることで多様な生物相が形成され、
日本の海洋生物研究の発祥の地とされています。
博物館の海洋生物分野では、三浦半島と三浦半島に強い影響をあたえている黒潮流域の海洋生物の多様性を明らかにするため、
現在3つのテーマで研究活動を行っています。

三浦半島のウミウシ類相

世界的にも有名なウミウシ類生息地である相模湾をはじめ、三浦半島沿岸に生息するウミウシ類の標本や生態の記録を収集し、
その分類や出現状況について調査研究しています。
三浦半島西側の相模湾沿岸には多種・多様なウミウシ類が生息しています。

アオウミウシ

サガミミノウミウシ

シロウミウシ

ムカデミノミノムシ

ウミウシ類の歯(歯舌)は重要な分類形質となっています。

シロウミウシの歯のSEM 写真

ムカデミノウミウシの歯のSEM 写真

魚類の分類学的研究

三浦半島および黒潮流域の魚類相を明らかにするための調査研究とともに、もっとも多様性に富んだ魚類の一群であるハゼ類の分類学的研究を進めています。

当館の研究によって新種として報告されたハゼ類(ともに奄美大島産)。

ヒメアオギハゼ

エリホシベニハゼ

骨格の比較形態学的研究によるハゼ類の分類・系統学的研究。

イチモンジハゼ

イチモンジハゼの
中軸骨格

三浦半島の干潟の動物相

三浦半島には神奈川県内に数少なくなった干潟が残されています。ここに生息または訪れる動物の標本や生態の記録を収集し、
自然環境としての干潟の役割について調査研究しています。

三浦市江奈湾の干潟

コメツキガニ

チュウシャクシギ

文献一覧

担当学芸員(萩原清司)に関わる文献に関わる文献

萩原清司・林 公義

1992.日本初記録のベニハゼ属2 種. I.O.P. DIVING NEWS, 3(8): 2-5.

林 公義・伊藤 孝・林 弘章・萩原清司・木村喜芳

1992.奄美大島の陸水性魚類相と生物地理学的特性.横須賀市博物館研究報告(自然), (40): 45-63.

鈴木伸洋・萩原清司

1995.トビハゼ浮遊期仔魚の皮膚の微細構.南西海区水産研究所研究報告,(28):33-41.

萩原清司・池田祐二・林 公義

1996.日本初記録のホムラハゼ(新称).I.O.P. DIVING NEWS, 7(8): 2-6.

萩原清司

1996.トビハゼ Periophthalmus modestus Cantor, 1942.日本の希少な野生水生生物に関する基礎資料(Ⅲ),p136-141 ( 社)日本水産資源保護協会.

木村喜芳・萩原清司・中根基行

1997.神奈川県産淡水魚5 種の分布に関する新知見.神奈川自然誌資料,(18): 79-82.

萩原清司

1998.トビハゼ.日本の希少な野生水生生物に関するデータブック(水産庁編),p98-99.(社)日本水産資源保護協会.

萩原清司・斎藤和久

1999.森戸川感潮域で観察された魚類.神奈川自然誌資料.(20): 69-74.

林 弘章・萩原清司・木村喜芳

2000.天神島・笠島および芦名オオツブ根周辺の浅海域魚類目録.芦名周辺サンゴ類生息状況調査報告書,p41-63.相模湾海洋生物研究会

萩原清司

2001.奄美大島で採集された日本初記録のヨコヤマハナスズキ(新称).I.O.P. DIVING NEWS ,12(8): 2-4.

渡辺一哉・萩原清司

2001.石油汚染のバイオレメディエーションの安全性.環境技術,30(6): 12-17.

萩原清司

2003.三陸沿岸中部から得られた淡水・汽水性魚類.横須賀市博物館研究報告(自然),(50): 33-41.

植田育男・萩原清司・崎山直夫・足立 文

2003.江ノ島の潮間帯動物相Ⅳ.神奈川自然誌資料,(24): 25-32.

Ishikura, M., Hagiwara, K., Takishita, K., Haga, M., Iwai, K. and Maruyama,T.

2004. Isolation of New Symbiodunium Strains from Tridacnid Giant Clam (Tridacna crocea) and Sea Slug (Pteraeolidia ianthina) Using Culture Medium Containing Giant Clam Tissue Homogenate. Marine Biotechnology      , 6: 378-385.

萩原清司・山本健一郎・田中雅宏

2004.横須賀市天神島臨海自然教育園の岩礁性潮間帯動物相.横須賀市博物館研究報告(自然),(51): 38-45.

西栄二郎・工藤孝浩・萩原清司

2004.野島海岸と野島水路、平潟湾に産する多毛類(環形動物門).神奈川自然誌資料,(25): 51-54

萩原清司・田中富士春

2005.岩手県中部沿岸から得られた日本初記録の後鰓類Archidoris odhneri(軟体動物:ドーリス科).横須賀市博物館研究報告(自然),(52): 35-36.

萩原清司

2006.横須賀市天神島・笠島周辺海域の後鰓類(軟体動物:腹足綱).横須賀市博物館研究報告(自然),(53): 19-32.

萩原清司・木村喜芳

2006.房総半島館山湾波左間周辺海域の魚類相.国立科学博物館専報,(41): 351-387.

Hagiwara K. and Winterbottom R.

2007. Two new species of Trimma (Gobiidae) from the western Pacific. Bull. Natl. Mus. Nat. Sci., Ser. A. Suppl. 1,         (1): 163-174.

萩原清司・工藤孝浩・岩下 誠

2007.東京湾から得られたマトウトラギスParapercis ommatura(スズキ目:トラギス科).横須賀市博物館研究報告(自然),(54): 23-26.

萩原清司・斎藤和久・出島誠一・五十嵐大介

2008.逗子市田越川水系の魚類横須賀市博物館研究報告(自然),(55): 11-22.

植田育男・萩原清司・櫻井 徹

2008.江ノ島の潮間帯動物相Ⅴ.神奈川自然誌資料,(29): 163-169.

萩原清司・山田和彦・藍澤正宏

2009.紀伊半島沖で採集されたムナビレハダカエソ(ヒメ目:ハダカエソ科).横須賀市博物館研究報告(自然),(56): 29-30.

萩原清司

2009.イチモンンジハゼ(スズキ目:ハゼ科)の骨格系の観察.横須賀市博物館研究報告(自然),(56): 9-19.

植田育男・萩原清司

2009.相模湾江の島における潮間帯イガイ科二枚貝類相.神奈川自然誌資料,(30): 41-48.

Motomura, H., Ogihara, G. and Hagiwara, K. 

2010. Distribution range extension of a scorpionfish, Scorpaenodes quadrispinosus, in the Indo-Pacific, and comments on synonymy of S. parvipinnis (Scorpaeniformes: Scorpaenidae). Fishes of Yaku-shima Island,    p17-26.  National Museum of Nature and Science, Tokyo.

萩原清司

2010.横須賀市天神島・笠島周辺海域の後鰓類(追補).横須賀市博物館研究報告(自然),(57): 19-23.

崎山直夫・萩原清司・村石健一

2011.横須賀市笠島に漂着したコマッコウ(クジラ目:コマッコウ科)について.横須賀市博物館研究報告(自然),(58): 43-45.

萩原清司・岡部 久

2012.伊豆諸島周辺海域で採集されたトゲナシチビキ(スズキ目:ハチビキ科).横須賀市博物館研究報告(自然),(59):       29-30.

萩原清司

2012.三浦半島東京湾岸から採集されたトゲナシヌマエビ.横須賀市博物館研究報告(自然),(59):       27-28.

植田育男・萩原清司・伊藤寿茂・北嶋 円・村石健一

2013.江の島の潮間帯動物相‐Ⅵ.神奈川自然誌資料,(34): 25-32.

伊藤寿茂・植田育男・根本 卓・萩原清司

2013.江の島の潮間帯フジツボ相Ⅱ.横須賀市博物館研究報告(自然),(60): 15-23.

萩原清司・島村嘉一

2013.東京湾から採集されたアカメ(スズキ目:アカメ科).横須賀市博物館研究報告(自然),(60): 31-32.

藍澤正宏・青沼佳方・明仁・池田祐二・甲斐嘉晃・坂本勝一・島田和彦・瀬能 宏・土居内龍・中坊徹次・中山耕至・萩原清司・
波戸岡清峰・林 公義・細谷和海・柳下直己・山口敦子・山田梅芳・吉野哲夫

2013.日本産魚類検索 全種の同定 第三版.2428pp. 東海大学出版会.

Manabe, H., Toyoda, K., Nagamoto, K., Dewa, S., Sakurai, M., Hagiwara, K., Shinomiya, A. and Sunobe, T.

2013. Bidirectional sex change in seven species of Priolepis (Actinopterygii: Gobiidae).      Bulletin of Marine Science, 89(2):            635-642.

Sunobe, T. and Hagiwara K.

2013. Non-functional hermaphroditism in three species of Clpeiformes from Tokyo Bay, Japan.   Journal of Applied Ichthyology, 29: 918-921.

北嶋 円・伊藤寿茂・岩崎猛朗・冨永早希・佐野真奈美・植田育男・村石健一・萩原清司

2014.江の島の潮間帯ヤドカリ類相.神奈川自然誌資料,(35): 17-24.

冨永早希・萩原清司

2014.江の島におけるシワセビロガニの記録.神奈川自然誌資料,(35): 25-26.

萩原清司

2014.震災が河川魚類の生息環境に与えた影響~岩手県中部沿岸域の例~.横須賀市博物館研究報告(自然),(61): 9-17.

伊藤寿茂・北島 円・冨永早希・佐野真奈美・岩崎猛朗・植田育男・村石健一・萩原清司

2014.江の島の岩礁海岸におけるヒメアカイソガニとアカイソガニの生息地に見られた陸水の湧出と伏流.Cancer,(23): 9-17.

萩原清司

2015.奄美大島で採集されたジャノメヌノサラシ(スズキ目ハタ科).横須賀市博物館研究報告(自然),(62): 27-30.

萩原清司

2016.震災が河川魚類の生息環境に与えた影響(その2)~東北地方太平洋沖地震から4年後の岩手県中部沿岸域の魚類相~.横須賀市博物館研究報告(自然),(63): 17-25.

萩原清司

2016. 横須賀市自然・人文博物館所蔵 芦澤一郎氏寄贈 タカラガイ類標本目録.横須賀市博物館資料集,(40): 15-38.

日比野友亮・田中 颯・萩原清司・木村清志

2016. 奄美大島初記録のウミヘビ科2種. Nature of Kagoshima, (42): 21-26.

SunobeT., Sato T., HagiwaraK., Manabe H., Suzuki T., Kobayashi Y., Sakurai M., Dewa S., Matsuoka M.,ShinomiyaA., FukudaK. and Miya M.

2017. Evolution of bidirectional sex change and gonochorism in fishes of the gobiid genera Trimma, Priolepis and Trimmatom. The Science of Nature, 104: 1-11.

齋藤和久・萩原清司・出島誠一

2017. 三浦半島から採集されたカマキリ(アユカケ)(スズキ目:カジカ科).横須賀市博研報 (自然), (64): 31-34.

伊藤寿茂・植田育男・萩原清司・北島 円・岩崎猛朗・村石健一・崎山直夫

2018. 江ノ島の潮間帯動物相Ⅶ.神奈川自然誌資料,(39):13-21.

萩原清司・斎藤和久・木村喜芳・横須賀市自然環境共生課

2018. 横須賀市から初記録の淡水魚4種.横須賀市博研報(自然),(65):23-24.

Nakae, T., Motomura, H., Hagiwara, K., Senou, H., Koeda, K., Yoshida, T., Tashiro, T., Jeong, B., Hata, H., Fukui, Y., Fujiwara, K., Yamakawa,.T., Shinohara, G. and Matsuura, K. 

2018. An annotated checklist of fishes of Amami-oshima Island, the Ryukyu Islands, Japan. Men. Natl. Mus. Nat. Sci. Tokyo, (52): 205-361.

本村浩之・萩原清司・瀬能 宏・中江正典(編)

2018. 奄美群島の魚類.414ページ,鹿児島大学総合研究博物館,鹿児島市,横須賀市自然・人文博物館,神奈川県立生命の星・地球博物館,小田原市,国立科学博物館,つくば市.(WEB公開:www.museum.kagosima-uac.jp)

萩原清司・本村浩之

2018. 日本初記録のイットウダイ科魚類Sargocentron iota. 魚類学雑誌, J-stage 早期公開版: 5pp.

和田英敏・萩原清司・本村浩之

2018. 鹿児島県沖永良部島から得られた北限記録のヒラウミタケハゼおよび本種の生態学的新知見. Nature of Kagosima, (45): 103-107.

萩原清司・斎藤和久・木村喜芳・横須賀市自然環境共生課

2019. 横須賀市平作川で採集されたダイミョウサギ. 横須賀市博研報 (自然), (66): 29-30.

萩原清司・永嶋省吾・三浦半島渡り鳥連絡会

2019. 横須賀市自然・人文博物館鳥類資料目録II. 横須賀市博資料集, (43): 1-40.

本村浩之・萩原清司・瀬能 宏・中江正典 (編)

2019. 奄美群島の魚類図鑑. 436ページ. 南日本新聞開発センター, 鹿児島市.

吉田朋弘 ・ 萩原清司 ・ 本村浩之

2019. 石垣島から得られたハタ科魚類の稀種クレナイトゲメギス Suttonia coccinea の記録. 魚類学雑誌, 66(2): 217-219.

吉田朋弘 ・ 萩原清司 ・ 本村浩之 

2020. 和歌山県から得られたテンジクダイ科の稀種シキナミヤツトゲテンジクダイ Neamia notula の記録. 魚類学雑誌, 67(1), 107-110.

萩原清司 ・ 原田莉緒 ・ 石渡陽人 ・ 大島雛子 ・ 畠山葉南 ・ 多田かの

2020. 三浦半島におけるオニカマス Sphyraena barracuda (スズキ目 ; カマス科) の出現状況. 横須賀市博研報 ( 自然 ), (67): 29-32.

Fujiwara K., Hagiwara K., Motomura H.

2020. Redescription of Lepadichthys coccinoteania Regan 1921 and description of Lepadischthys trishula sp. nov. from southern Japan (Gobiesocidae: Diademichthynae). Ichthyological Research, 67(3): 422-438.

萩原清司・小長谷美沙

2021. 横須賀市天神島臨海自然教育園から得られたホシダカラ亜成貝の記録. 横須賀市博研報 ( 自然 ), (68): 22-28.

萩原清司・幸塚久典

2021. 三浦半島から得られたイッサイフシエラガイとミカドウミウシの記録. 横須賀市博研報 ( 自然 ), (68): 29-30.

Fujiwara K., Hagiwara K., Motomura H.

2021. Acentrogobius limarus (Gobiidae) from the RyukyuIslands Japan: First Northern Hemisphere redords. Species Diversity, 25: 355-359.

古橋龍星・萩原清司・本村浩之

2022. 奄美大島から得られた日本初記録のユカタハゼ族魚類モンロユカタハゼ(新称). 日本動物分類学会誌,(52): 32-36.

松浦啓一・萩原清司

2022. 加計呂麻島と奄美大島北部で発見されたアマミホシゾラフグの産卵巣.横須賀市博研報 ( 自然 ),(69): 19-23.

萩原清司

2022. 横須賀市博物館資料集 46 号「横須賀市自然・人文博物館所蔵魚類資料目録(V)横須賀市自然・人文博物館および相模湾海洋生物研究会収集奄美群島産魚類目録」. 横須賀市博資料集 , (46): 1–127,4 図版 .