冬は小学校3年生が訪れる季節です
1月から3月上旬までの間、博物館には多くの小学校3年生が訪れます。なぜかと言いますと、小学校3年社会科で「昔の道具と暮らし」という小単元があり、当館にある古民家(約180年前に建てられたとされる)と昔の道具を見学するためです。学芸員の解説を希望する小学校には、日程調整のうえ来館していただいています。
コロナ禍前は、市内の47校(私立含む)のうち30~35校がこの時期に来館していました。古民家はクラスごとに見学しますので、1校につき2回や3回「このおうちは、横須賀の佐島に建っていました…」と説明し、質問に答えるのは大変でした。しかし、子どもたちが昔の家に興味をもち、目を輝かせているのを見るとうれしい気持ちになりました。小学校3年生ではまだ歴史の授業が始まっていないので、この古民家見学がきっかけで歴史が好きになるかもしれないからです。
自分の記憶をたどってみると、小学校の校外学習の一環で秋になると近所にあった「みちのく民俗村」に行き、いものこ会という芋の子汁をみんなで食べる行事がありました。あらかじめ各家庭で煮た里いも2つを持ち寄り、鶏肉や豆腐などを入れて、醬油仕立ての芋の子汁を作るのです。茅葺屋根の家々の前で友達と一緒に芋の子汁を味わった経験が、学芸員になるきっかけとは言いませんが、とても楽しい思い出として心に残っています。
当館では芋の子汁を振舞うことはできませんが、それに負けないくらい横須賀の歴史に楽しく触れられるよう心掛けています。今年度は15校ほどが来館するのではないかと思います。まだまだコロナ禍前の半分ですが、少しでも多くの子どもたちに歴史を学ぶ楽しさを知ってもらえれば幸いです。(民俗学担当:瀬川)
古民家見学の様子
囲炉裏に興味を持つ子どもたち
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