強烈寒波で海の生き物もこごえます

2025.04.01

 2024年度の冬は暖かな日と観測史上の記録に残るような寒波とが交互にやってきました。この急激な寒暖の差の影響を受けたのが、黒潮にのって南方からやってきた暖かい海の生き物たちです。

 2024年の11月末から12月にかけての寒波では、潮位高80 cm付近の潮だまりで、ハゼのなかまのスジクモハゼが10個体、イソギンポのなかまのセンカエルウオが1個体、イワガニのなかまのミナミイワガニが5個体、凍死または温度の低下で身動きが取れない状態で見つかりました。当初は死因がよくわからなかったのですが、潮だまり内外の海水温を測ったところ8℃しかありませんでした。発見場所が潮位が高い位置の潮だまりだったため内部の海水と外海水との交換が少なく、夜間に急激な水温低下が起きたことで凍死したということが推察できました。そのことを裏付けるように、一部のスジクモハゼとミナミイワガニは、暖房のきいた研究室内に持ち帰ったところ動きはじめました。今回、凍死していたセンカエルウオは、これまで宮崎県以南での分布が確認されている魚で、発見された個体はセンカエルウオの分布北限記録となりました。このセンカエルウオの標本は4月下旬までの期間で開催中のトピックス展示「新着標本2025」で公開中です。

 

センカエルウオ

 

ミナミイワガニ

 

 

 

 2024年12月下旬と2025年月下旬の寒波では、熱帯・亜熱帯性のタコのなかまのワモンダコが3個体、相次いで天神島の海岸に打ち上げられました。ワモンダコは、腕を広げた大きさが2mに達する大型のタコで、一昨年あたりから、三浦半島の相模湾岸で漁獲あるいは目撃されるようになっていて、地球温暖化もしくは黒潮の大蛇行の影響受けて北上してきたものと考えられます。天神島に打ちあがった個体も一番大きなものは腕を広げると2m近くありました。しかし、打ちあがった時点ですでに腐敗が始まっていたため、「カラストンビ」と呼ばれる顎板(がくばん:くちばし状の歯のような器官)だけを標本として保存しトピックス展示「新着標本2025」で公開中です。(海洋生物学担当:萩原)

 

ワモンダコ

 

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