学芸員自然と歴史のたより「ウミウシ模型の製作」
2016.08.20
現在(9月25日まで)、博物館本館で公開中の天神島臨海自然教育園開園50周年特別展「天神島大冒険!-海とともにくらす生き物たちの楽園-」において、手作りウミウシ模型17種類が展示されています。ウミウシ類はその美しさから、天神島の磯の自然観察でもっとも人気の生き物です。まずは製作に入る前に材料選びですが、本体はできるだけ軽量で収縮率の低い紙ねんどを使用しました。鰓(えら)には発布スチロールまたは厚手のトレーシングペーパー、触角(しょっかく)の芯にはつまようじを使います。製作の当初は試行錯誤の繰り返しでしたが、紙ねんどの扱いに慣れてくると失敗もなくなって、イロウミウシ類1体の製作所要時間は2時間程度となりました。ちなみに最も製作に時間のかかったのはヒロウミウシで1週間です。仕上げに彩色(色付け)を行いますが、これは色彩のセンスが問われる作業なので、担当は天神島臨海自然教育園の長島職員に交代です。絵具はアクリルガッシュ(アクリル系水性絵の具)を用い、天神島で撮影したウミウシの生態写真やウミウシの図鑑の写真を参考に、何度も色を重ねながら仕上げました。今回、ウミウシの体の構造や生態を理解できていないとリアルな模型にならず、じっくり観察し理解するという意味で、模型作りも自然観察の延長にあるということが実感できました。(海洋生物学担当 萩原)
製作したウミウシ模型。特別展示「天神島大冒険!」で展示中!
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