世界一の貝【学芸員自然と歴史のたより】

2024.08.01

 博物館本館では、6月29日(土)~11月4日(月・振休)の期間で、企画展示「しぜん☆はくぶつチャンピオンシップ」を開催中です。

 この企画展は、4年に一度の国際的なスポーツの祭典にちなみ、さまざまな国の資料、横須賀や日本を代表する資料、各分野でナンバーワンとされる種類の資料など、収集・寄贈などによって博物館に集められた資料を公開しているものです。この展示の中で、特に海洋生物担当としてお勧めなのが貝類の展示です。

   

 リュウグウオキナエビスは「生きた化石」としても知られる深海性の巻き貝で、1969年(昭和44年)当時1ドル360円の固定相場の時代に、鳥羽水族館が1万ドル(360万円)で購入し、ニュースになった「世界一高価な貝殻」です。現在では採集技術の向上や円相場が変動制になったこともあって、当時ほど高価ではなくなりましたが、大型の貝殻は今でも10万円以上の値がつきます。

 

リュウグウオキナエビス

 

 アラフラオオニシは、オーストラリア北岸とインドネシアに挟まれたアラフラ海に生息する世界最大の巻き貝で、最大で殻の高さが70 cm以上になります。今回展示した標本は殻の高さ50 cmほどで最大には及びませんが、当博物館の初代学芸員の羽根田博士がインドネシアで収集してきたとされる歴史ある標本です。

 

アラフラオオニシ

 

 今回の展示の目玉のひとつとなっているのが、オオシャコガイです。西太平洋のサンゴ礁に生息する世界最大の二枚貝で、殻の幅は1 mになります。展示標本はパラオ共和国で採集され、殻の幅は約90 cm、重さは約50 kgのもので、市民から寄贈されました。展示の中ではサンゴ礁の水中写真を背景に、オオシャコガイと一緒に記念写真が撮れるフォトスポットにもなっていて、来場者の人気を集めています。

 

オオシャコガイ

 

 開催期間はまだまだ先があります。ぜひ「世界一の貝」たちを見にご来場ください。(海洋生物担当:萩原)

 

2024年8月1日掲載

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