自然館 1階

自然館 1階

 おもに三浦半島の生き物を紹介しています。「植物」、「昆虫」、「海辺の生物」、「魚類」、「鳥類」、「哺乳類」などの展示があります。
地質時代の化石を展示した「生命の歴史」、大型の鉱物を展示した「美しい石」もあります。
ホタルやホタルイカなどの「発光生物」の展示は、当館の展示の特色です。

詳細一覧

岩石壁面

 私たちの身の回りには、さまざまな岩石が石材として使われています。2階から1階への階段の壁面には、大谷石 (おおやいし) や浮金石 (うきがねいし) などの石材が、装飾を兼ねて展示されています。

生命の歴史

 約46億年の地球の歴史の中で、多様な生物が出現したのは古生代 (約5億4,000万~2億5,000万年前) になってからです。古生代には三葉虫や魚類が栄えました。中生代 (約2億5000万~6500万年前) にはアンモナイトや恐竜を代表とするは虫類が栄え、新生代 (約6500万年前~現在) になると哺乳類と被子植物が繁栄しました。
 このコーナーでは古生代の三葉虫やフズリナ (有孔虫)、中生代のアンモナイトや首長竜 (エラスモサウルス類)、新生代のデスモスチルス (哺乳類) など、地質時代を代表する化石を展示しています。

美しい石

 岩石をつくる鉱物のうち、形や色がきれいなものは宝石として用いられることもあります。
 このコーナーでは紫水晶や黄鉄鉱、メノウなど、美しい鉱物を展示しています。

植物

 三浦半島の野生植物は、1700~1800種類ほどで、森林の植物と海岸の植物にその地域的な特色がもっともよく表れています。森林植物は馬堀自然教育園で、海岸の植物は天神島臨海自然教育園でいつでも見ることができます。
 特にフウトウカズラ、ハマボウ、ワダン、タシロランは三浦半島の照葉樹林や海岸に生育する代表的な植物です。
 森の植物として、ミズキ、ヤアツツジ、ミヤマウズラなどの生態写真、ヤブコウジ、クサギなどの標本、海岸の植物としてハマカンゾウ、スカシユリなどの生態写真、ハママツナ、ホソバノハマアカザ、コウボウムギなどの標本が展示されています。中央には113種の植物画が波打ち際から山頂までの植物相の変化を表現しています。

海の生物

 磯や干潟には、イソギンチャクやサンゴなどの刺胞動物、エビやカニなどの節足動物、巻貝や二枚貝などの軟体動物、ウニやヒトデなどの棘皮動物など多様な動物が生息し、海藻や海草などの植物も生育しています。これらの生き物を見られる環境や水深ごとに標本や写真で紹介しています。
 また、相模湾で見られる美しいウミウシ類の生態写真も展示しています。

三浦半島の哺乳類

 現在の三浦半島には大型の野生哺乳類は分布していないため、展示はホンドタヌキ、キュウシュウノウサギ、ネズミ類、コウモリ類など、中・小型の哺乳類のはく製標本が中心となっています。また、近年急速に生息数を増やしている外来生物のアライグマとタイワンリスのはく製標本や、間違えやすいアライグマとタヌキの見分け方も紹介しています。

魚類

 三浦半島は東京湾と相模湾の異なった環境の海にはさまれ、たくさんの魚が見られます。
 このコーナーでは、めずらしいシノノメサカタザメをはじめ、マダイ、ブリ、スズキなど身近な魚、サザナミヤッコ、テングダイ、カゴカキダイなど美しい魚などのはく製標本をご覧いただけるほか、三浦半島の外来魚の写真、古代魚シーラカンスのレプリカなども展示しています。

鳥類

 三浦半島では一年中見られる鳥(留鳥)のほか、季節によって飛来する渡り鳥が見られます。
 このコーナーでは、城ケ島の集団越冬地が県の天然記念物に指定されているウミウ、ヒメウや、身近に見られるハシブトガラス、ハシボソガラス、ヒヨドリ、コサギなどを常設でご覧いただくほか、四季折々に見られる鳥を季節に合わせて入れ替えています。

両生・は虫類

 両生類はカエル、イモリ、サンショウウオなどのなかま、は虫類はヘビ、トカゲ、カメなどのなかまです。三浦半島の両生・は虫類には数が減ってしまった種が多く、トウキョウダルマガエルは姿を消し、イモリ、トウキョウサンショウウオ、ウミガメ類なども絶滅の危機にあります。このコーナーでは、はく製標本とレプリカで両生・は虫類を紹介しています。

有毒・有害な生物

 野外で自然に親しみ、動植物の観察や景観を観賞することは、心や体に活気を取り戻してくれる楽しい時間です。しかし、自然は人間だけのものではありません。多種多様な動植物が暮らしています。中にはヒトを有害な敵とみなしておそってくることもあります。人間がうっかり触ったり、巣を壊したり、近づきすぎたりると、思わぬ攻撃にあい、刺されたり、かまれたりします。このコーナーでは三浦半島で出あう可能性の高い、そんな有害・有毒生物を紹介しています。
 マムシ、ヤマカガシなどを模型で紹介するだけでなく、パソコンで検索することができます。しばしば話題になるスズメバチ類や海水浴などでのクラゲなどの事故も、一度確認して、気にとめていただけると防ぐことのできる事故です。野外活動の前に一度ご覧いただくことをお勧めします。

昆虫類

 三浦半島は山・海辺・谷戸・ため池など様々な環境を有し、多様な昆虫相をはぐくんでいます。三浦半島の昆虫類約400点の標本を生息環境や季節などに分けて展示しています。
 また、三浦半島の昆虫の中で最大のチョウであるモンキアゲハ、最大のセミであるクマゼミなど5種を取り上げ、生活史や国内外の分布について紹介しています。

陸の発光生物

 当博物館の初期にさかのぼる発光生物研究では、陸の発光生物についても国内外で調査されました。収集された標本や研究成果に基づく模型を展示しています。また、「発光」に関連して蛍光(けいこう)を発する岩石も展示しています。
 身近な陸の発光生物の代表でもあるホタル類の標本と発光パターンを紹介した映像・体験展示のほか、発光カタツムリや発光ヤスデなど他の生物の標本や模型も展示しています。

海の発光生物

 海は光る生物の故郷といわれ、寒帯から熱帯の海まで世界いたるところの表層から深海まで発光生物の種類、数量の多いところです。夜の海をボートで漕ぐと、オールの先からしたたる銀色の光も、ガラスのように透明な南海のサンゴ礁の間で泳ぐ発光魚の光もすべて海の生物の光です。さらに、太陽光のとどかぬ深海にはさまざまな発光魚や発光イカ、発光エビなどが美しい世界を作っています。日本は海に囲まれているうえに南北に長いのでウミボタルをはじめとしたさまざまな海の発光生物の宝庫といえます。
 浅海と深海の代表的な発光生物を、光る絵画、光る模型、実際の大きさや形がわかる標本で展示し、浅海に美しく光るウミエラやヒカリボヤ、ツバサゴカイ、ウミボタル、オオヒカリキンメダイ、マツカサウオなど、深海のちょっとグロテスクなチョウチンアンコウやホソワニトカゲギスなど生物の発光現象を楽しく観賞することができます。オワンクラゲは下村脩博士のノーベル賞でも話題になった発光クラゲです。

深海の生物

 三浦半島の西側に広がる相模湾は、世界でも有数の深さをもった湾として知られ、深海でしかみられない生物たちがくらしています。
 このコーナーでは、日本だけに生息し、世界最大の甲殻類であるタカアシガニや、深海の泥底にすむハコエビ、発光生物として有名なチョウチンアンコウなどのはく製標本が、ジオラマ展示でご覧になれます。